2011年3月26日土曜日

もういくつ寝ると授業開始日

こんにちは、新3回生の杉本です。
春休みに入り落ち着いた2月の中旬に1泊2日の東京ART旅行に行きました。
目的は、東京の美術館とギャラリー・画廊をできるだけ巡るということと、
2月27日まで森美術館で展示されていた小谷元彦展「幽体の知覚」を見ることでした。





たくさんの展示を見ましたが今回は強いショックを受けた小谷元彦展「幽体の知覚」に絞り書こうと思います。


いざ小谷元彦展。
豪華な社員専用入口に入ってしまったりなどしながら入場。
心を決めて行ってきます。

白い空間にまず展示されていたのは、少女が握りつぶしたラズベリーを手に持つ
「Phantom-Limb」
大人びた少女が覚醒と半覚醒の狭間を行き来するその様子は失われた感覚を思い出しているかのようでした。

三つ編みの人毛で出来たドレス「Double Edged of Thought」
三つ編みを組み合したドレスは、呼吸をするのを憚られる重い印象を受けました。
触ればやわらかな髪、しかし無数の針を思わす鋭い殺気を感じました。
艶を無くして死んだ髪が、編むという行為のなかで再び生気を帯び、言葉を紡ぐ衣服へと変わった。
白く低い台の上で横たわるドレスは纏う者が現れるまで、語り続けるのでしょう。


強制器具、拷問器具、髑髏と見ていくうちに、私はだんだん作品を見るために部屋を進んでいくのが怖くなりました。
作品からは死が濃厚に香りたち、強烈に美しい。
生死に対して鈍感だった感覚が痛みによって覚めてゆく。
これ以上進めばどんな痛みを体験することになるのか。

先へ進むと轟音。
「Inferno」
無数の声と八面の壁に滝の映像、その中に人が入って放心した様子で出てきます。
靴を脱いで、その空間に入ってゆくと、どこまでも空間が高く底なしの空間に落ちてゆく感覚に襲われました。
落ち着いて見ると、天井と床に鏡を張ってあり、八方の滝の流れを映してどこまでも落ちてゆく滝を表現しているとわかりました。
音の大きさと空間の不可解さにたちまち酔い、水に飲まれておぼれるようでした。
モンスターの体内にいるかのような恐ろしさでした。

自身の血液を含んだシャボン玉が壁に当たって割れる様子を映した映像作品「No.44」
さまざまな動物の骨をモデルに動態をつくり、見たことのない生物の骨を展示していた
「New Born」シリーズ皮膚のはがれた武者と同じく皮膚のない馬が駆ける「TheSpecter」映画「悪魔のいけにえ」に登場する殺人鬼レザーフェイスが、マスクをかぶり、チェーンソーで木を刻む姿を映像にした「World is Beautiful」など数多くの作品がフロアを支配していました。

最後に魂を抜かれてしまうように美しい「Hollow series」
白い空間で光を反射し発光する、エネルギーの揺蕩い。
どっしりと流れる気に圧倒され、この世のものを見ている気がしませんでした。


小谷元彦展を見て、作品に対する感覚はここまでリアルに具現化できるものなのだなと体感しました。
展示を見てから1か月ほど経ちましたが、いまも展示会場で感じた痛みや興奮をそのままに思い出せます。
自分の表現しようとしていることをより明確にし、作品を造ることが私には絶対必要だということ、またアーティストになるというのはこんな凄まじいエネルギーをもつ作品を生み出すということなのだなと感じました。

一人旅で歩き疲れ、すこしさびしい旅でしたが、得られた感動と興奮はここ最近ではなかったものでした。
国外に出ればさらなる興奮が・・・!

もういくつ寝るとまた新しい学生生活が始まります。
目標もたくさんあるので一つずつ消化していこうと思います。

では、地元・徳島にて春を感じすこし気持ちが浮き立っている杉本でした。


版画コース2回生の杉本

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